しばはま de シネマカフェ

映画の感想です。ちょこっとバイアスかかりますがご容赦ください。

映画『グッド・ウィルハンティング』ネタバレ感想&プチ考察!監督のオリジナリティをちょこっと解説

『グッド・ウィルハンティング/旅立ち』  


1997年

監督 ガス・ヴァン・サント

脚本 マット・デイモン&ベン・アフレック

 

【キャスト】

マット・デイモン

ロビン・ウィリアムズ

ステラン・スカルスガルド

ミニー・ドライバー

ベン・アフレック

ケイシ・アフレック


【あらすじ】


幼少期に受けた深い心の傷によるトラウマから心を閉ざしたままの天才的頭脳の青年ウィル、最愛の妻に先立たれ失意の中にいた精神分析医ショーン、2人の出会いと友情、新たな人生の旅立ちへの自覚と選択を描く感動のヒューマン・ドラマ。


【注目ポイント】


なんと言ってもマットデイモンとベンアフレックが共作した脚本。これで2人は脚本賞を受賞、ハリウッドドリームを実現し、俳優としてはもとより、制作者や監督としても現在に至るまで活躍する事となるのです。

 

【ネタバレ感想】


誰が今さらこの超名作を観るのかなあ?などと油断していたら、数々の名シーンにてまたもや完敗、涙してしまいました。

今観てもホントに凄く心に響く良い映画だと思いました。。

 


何がこの映画を不朽名作たらしめているかと言えば、やはりマット・デイモンとロピン・ウィリアムズの誠実に演じている姿。これに尽きます。。。泣けますな。


きっかけがどんな事であれ、心に深く傷を負った人間は本心から他人を受け入れる事が出来なくなるって、誰にでも起こり得ることですよね。


そして、心を閉ざして過ごして行く内に、本当の幸せを掴み取れるチャンスを見逃してしまい、失くしてしまう事もあるのだろなあと。


この映画の天才孤児のウィルも、精神分析医のショーンも同じ。

 

でも、この2人は出会いから反目し合いながらも、徐々に、同じ境遇や心情を持つ人間同志のシンパシーを覚えて始め、互いに持つ人間性への共感を否定できなくなってくるんです。

 

天才的な頭脳によって蓄積された知識を持って"口撃"してくるウィルに対して、実に冷静に、いや、時に感情を露わにしながらも、地に足がついた論理で反撃するショーン。

 

ウィルは知識武装は凄まじいが、他人と深く関わることを恐れるあまり人生を切り開く時に生じるリアルな感情を持てないままでいる事をショーンは見抜いていたのだ。

 

この2人の応報がとてもリアルで、しかもそのうちに段々と2人の人生における背景とスタンスがお互いに、そして観客の我々にも知る事となっていくのです。


この辺りの運び方とリアリティの感じさせ方が脚本の素晴らしいところなのだろなと、今回改めて気が付かされました。


そして、今は亡きロピン・ウィリアムズが当時は若くまだまだ無名なマットとベンの脚本を信じて誠実に演じる姿にも改めて感涙です。


他人を受け入れる事で裏切られて傷付くこともありますが、反対に勇気を持って受け入れる事で、人生が大きく動き出すこともあるのだと、ロビンとマットがこの映画の通りに証明して見せたことも感動します。

 

ロピンも助演男優賞を、マットはベンとともに脚本賞でそれぞれオスカーwinnerとなり脚光と賞賛を受ける事となりました。

 

ただ、全然大袈裟な作風ではなく、そこは

監督ガス・ヴァン・サントの手腕が活きていて、

じんわりとポジティブな気分にさせてくれるとても好感触な作品に仕上がっています。

 

ここでひとつ、監督ガス・ヴァン・サントならではのオリジナリティを、私なりの感想を交えて

 

ガス・ヴァン・サントは初期にポートランド3部作と呼ばれている自伝的要素から発していると思われる作品を制作しています。

 

『マラノーチェ』

『ドラッグストア・カウボーイ』

『マイプライベート・アイダホ』

 

これら作品の中では共通して、ドラッグ中毒者やゲイコミュニティの仲間同士で形成されたグループの日常を描いていました。

興味深いのは、彼等が必要か偶然かでグループとしての生活がまるで偽造された家族の様である事です。

 

実はグッドウィルハンティングでも似たような背景が存在しています。ウィルが日常的に連む仲間たちとの生活描写にその片鱗が見えて来るのです。

 

初期3部作は80年代の作品なのですが、本当の家族でない者たちがドラッグ中毒や同性愛者同士としてのつながりから人生のひとときを共有しています。

そしてそれが必然的に崩壊して行くのですが、その有り様が、今見直しても凄く現代的な感性だなあと思います。

 

ただ、グッドウィルハンティングでも同様に擬似家族が最終的には終焉を迎えてしまうのですが、初期3部作とはその意味に明らかな違いがあります。

初期3部作での挫折や決別を通して描かれる悲劇的な崩壊に対して、グッドウィルハンティングでは、ウィルが本当の人生に踏み出して行くために仲間から促されるポジティブな"解散"であると言う事です。

 

 

 

とにかくこの映画はキャストが皆さん素晴らしい♪

未見の方は是非とも。凄くお勧めです♪


最後まで読んで頂きありがとうございます。